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ミツバチと共に90年――

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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

東京ブンブン

東京ブンブン

 

 夜、YouTubeで養蜂家のチャンネルを見る。
 人んち然とした鬱蒼な庭に、ちょこんと古い木箱がある。そこでは、日がな一日ミツバチが、一所懸命蜜を集めている。小さなおしりと羽を震わせ、せっせせっせと集めている。たまに人間がよこす液糖も、採蜜の時にこぼれた蜜も綺麗に舐め取って、なんて健気な虫なのだろう。わたしに小さな癒しを与えてくれる。
 恨むはスズメバチだ。あいつらはなんだ。人のものを盗んで、遠くへ追い払ってもまたやってくる。その執着たるや醜く、あれは紛れもなく虫である。睨んでいると、無垢なミツバチが集まってくる。やめろ、ミツバチ、逃げてくれ!そう叫ぶ声は自室に溜まるのみである。すると、大量のミツバチが1匹のスズメバチに覆い被さった。ハチの上にハチ。その上にハチが乗っかり、やがて円形にまとまってゆく。テロップが出る。
 「蜂球」
 なにそれ。
 聞くと、熱殺蜂球といって、中にいる天敵を熱で蒸し殺すための行動だそうだ。え、えげつない。スズメバチは同胞の死に集会し、ミツバチへの反撃を伺う。人間に見つかってまんまとしばかれる。すごい。決してかわいいだけではない。ハチ。針がある。熱も出せる。復讐をする。群れで生きる彼らは、なんと奥深き虫であろう。
 都内の安アパートでわたしはハチを思考する。養蜂の夢をみる。ミツバチのように、時にはスズメバチのようにして、社会に揉まれるわたしたち。蜜を集め、奪っていく。恨んで、恨まれて。そして日だまりを飛んでゆく。
 なんてね。妄想はおしまい。明日もせっせとがんばろう。

 

(完)

 

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